写経の書き方|初心者でも失敗しない手順とコツを解説

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字が下手だから自分には写経は無理かな
道具は揃えたので、次は実際にどう書くかを知りたい

そんな風に思っている方に、最初に伝えたいことがあります。

写経は、字の上手さを競うものではありません。一文字一文字を丁寧に、心を込めて書き写すこと。それだけが求められています。書道の経験がなくても、筆ペンを握るのが初めてでも、問題なく始められます。

この記事では、写経の書き方を手順ごとに解説します。この記事を読みながら、そのまま書き始められる内容にしています。

この記事でわかること
  • なぞり書きと臨書、どちらから始めるべきか
  • 写経の書き方の手順(始め方から終わりまで)
  • 姿勢・筆の持ち方・1行17字のルール
  • 間違えたときの正しい対処法
  • 続けやすくなるコツ
目次

書く前に知っておきたいこと

写経は「上手く書く」ものではない

子供の頃に習字教室に通っていた私は、写経を始めたとき「書道の延長」のつもりで筆を持ちました。でもすぐに気づいたのは、写経は書道とまったく違う、ということです。

書道は字の美しさを追います。でも写経には、採点する人も評価する人もいません。「うまく書こう」という気負いが、かえって手を固くする。脱力して、ただ一字ずつ写していく。その感覚に慣れたとき、写経が一気に楽になりました。

字が下手でも、筆が苦手でも、大丈夫です。

まずその前提を頭に入れてから、筆を持ってみてください。

なぞり書きと臨書、どちらから始めるか

写経には2つのスタイルがあります。

なぞり書き(模書)は、あらかじめ薄くお手本が印刷してあるなぞり書き用紙を使う、もしくは、お手本を用紙の下に敷いて、透けて見える文字をなぞる方法です。字の形を追いながら書けるので、初心者に向いています。市販の写経用紙の多くは、このスタイルに対応しています。

臨書は、お手本を横に置いて見ながら自分で書いていく方法です。字形を自分の目で判断しながら書くので、ある程度の経験が必要です。

初めての方は迷わずなぞり書きから。書き慣れてきたら臨書に移行する、という流れが自然です。

写経の書き方:手順

机に向かって写経をしている様子のイメージ

① 環境を整える

写経は集中して行うものなので、まず環境を整えます。

  • 机の上を片付け、必要な道具だけを置く
  • スマートフォンは通知をオフにするか、手の届かない場所に置く
  • 手を洗って清める

お香を焚いたり、仏壇に手を合わせてから始めたりする方もいますが、必須ではありません。「これから写経を始める」という気持ちの切り替えができれば、それで十分です。

ただ私としては、お香を焚くと非常に気分がでるので時間に余裕のある時はおすすめです。

② 姿勢と筆の持ち方

椅子に座る場合は、背もたれに寄りかからず浅く腰かけ、背筋を自然に伸ばします。机と体の間は、こぶし一個分ほどの余裕を持たせると書きやすいです。

筆は、「筆ペン」もしくは「毛筆」を使うのが一般的です。(中字ですと太くて書きにくいので、極細か細字のものにする)

筆ペンの持ち方は、鉛筆を持つ感覚と大きく変わりません。ただ、軸を少し立て気味に持つと、穂先のコントロールがしやすくなります。力を入れすぎず、軽く握るくらいが書きやすいです。

毛筆を使う場合も同様で、軸を垂直気味に立てて持ちます。手首に力を入れず、穂先を紙の上で滑らせるイメージで書くと、線が安定します。

③ 合掌して書き始める

姿勢が整ったら、合掌して一礼してから書き始めます。これも必須ではありませんが、「さあ始めよう」という心の準備になります。深呼吸を一度して、気持ちを落ち着かせてから筆を持つといいです。

④ 表題から書き始める

般若心経の写経は、まず表題(経題)から書き始めます。「摩訶般若波羅蜜多心経」 (まかはんにゃはらみったしんぎょう)がそれにあたります。

用紙の書式によって表題の位置は決まっていることが多いので、なぞり書き用紙の場合はそのまま従えば大丈夫です。

⑤ 本文を書き写す(1行17字のルール)

表題の次の行から、本文を書き始めます。般若心経の写経では、1行に17字を書くのが古くからのルールです。市販の写経用紙には、あらかじめこの幅で罫線が引かれているので、なぞり書き用紙を使う場合は特に意識しなくても自然にこの書式になります。

文字の大きさは揃えることを意識しながら、一字ずつ丁寧に書き写していきます。急がなくて大丈夫です。ゆっくり、目の前の一字だけを見て書く。それが写経のリズムです。

⑥ 奥題・願文・日付・名前を書く

本文を書き終えたら、以下の順で書き添えます。

  1. 奥題:本文の最後に「般若心経」と書く
  2. 願文(任意):1行あけて「為〇〇供養」「右為心願成就」などの願いを書く。書かなくても問題ない→願文の書き方はこちら
  3. 住所・名前:自分の名前を書き、最後に「謹写」と添える(住所はお寺に納経する場合のみ記入)
  4. 日付:書いた年月日を記入する

願文・名前・日付の順番は、お寺や用紙の書式によって異なる場合があります。なぞり書き用紙に書式が印刷されている場合は、それに従うのが確実です。

⑦ 書き終えたら合掌して一礼

すべて書き終えたら、合掌して一礼します。書き終えたあとの静けさは、写経を続けている理由のひとつです。この感覚を味わうために書いている、と言ってもいいくらい。

書くときのコツ

毛筆で写経を書いている手元のイメージ

力を抜いて書く

筆ペンや毛筆で書くとき、無意識に力が入りすぎることがあります。特に「きれいに書こう」と思うときほど、手が固くなりやすい。

意識的に肩の力を抜いて、軽く握るくらいで書いてみてください。線が少しふらついても構いません。写経を重ねるうちに、自然と安定してきます。

「今の一字」だけに集中する

般若心経は276文字あります。最初から「全部書ききらなければ」と思うと、プレッシャーになります。

コツは「今書いている一字だけを見る」こと。次の文字のことも、残りの枚数のことも、考えない。この感覚が身につくと、写経の集中状態がぐっと深くなります。瞑想に近い感覚、と表現する人が多いのも、このあたりにあると思っています。

間違えたときの対処法

写経中に誤字が出たときは、修正液や消しゴムは使いません

間違えた字の右横に小さく点(ヽ)を打ち、同じ行の上か下の余白に正しい字を書き直します。脱字の場合は、抜けた箇所の右に点を打ち、行の末尾に正しい字を書き足します。

「間違えてはいけない」と緊張するほど、かえって手が止まりやすくなります。間違えたら決まった方法で対処する、それだけのことと思っておくと気が楽になります。

道具が揃っていない方へ

最低限必要なのは、写経用紙と筆ペンの2点だけです。なぞり書き対応の写経用紙があれば、お手本を別に用意する必要もありません。

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よくある質問

旧字体で書かなければいけませんか?

一般的な写経用紙には旧字体(例:「佛」「觀」など)が使われています。なぞり書き用紙を使う場合はその文字をそのままなぞればよいので、旧字体を別途覚える必要はありません。現代漢字体で書かれたお手本の用紙も市販されているので、旧字体が苦手な方はそちらを選ぶのも一つの方法です。

ボールペンや鉛筆でも書けますか?

書けます。写経に使う筆記具に厳密な決まりはなく、自宅での練習であればボールペンや鉛筆でも問題ありません。ただし、お寺に奉納する場合は、墨・毛筆・筆ペンが一般的です。奉納を予定している場合は、訪問予定のお寺に事前に確認してみてください。

毎日書かなければいけませんか?

毎日でなくて大丈夫です。週1回でも、月に数枚でも、続けることの方が大切です。私自身、1〜2ヶ月続けてから「何か変わった気がする」と気づいた口なので、まず無理なく続けられるペースを見つけることをおすすめします。

お寺での体験と自宅での写経、どちらがいいですか?

どちらにも良さがあります。お寺での体験は、場の雰囲気の中で集中しやすく、書き方を確認しながら進められます。自宅での写経は、自分のペースで続けられる気軽さがあります。初めての方はまずお寺で体験してから、自宅でも続けるというスタイルが始めやすいかもしれません。→ 写経体験の流れ

まとめ

写経の書き方をまとめます。

  1. 環境を整えて、手を洗う
  2. 姿勢を正して合掌・一礼
  3. 表題から書き始める
  4. 本文を1行17字で書き写す
  5. 奥題・願文・日付・名前を書く
  6. 書き終えたら合掌・一礼

字の上手さは関係ありません。「今の一字」に集中して、丁寧に書き写す。それだけです。最初の一枚を書き終えたときの感覚を、ぜひ体験してみてください。

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この記事を書いた人

奈良で育ち、母が毎朝仏壇の前で般若心経を唱えるのを聞きながら育ちました。子供の頃は習字教室に通い、筆は身近なものでしたが、写経を自分で始めたのは30代になってから。都内IT企業での激務と、眠れない夜が続いた頃、ふと筆を手に取ったのがきっかけです。

1枚書き終えた後の静けさが忘れられなくて、それから5年。写経は私の暮らしに欠かせないものになっています。

このサイトでは、写経を始めたい方に向けて、道具の選び方からお寺での体験まで、実体験をもとに丁寧にお伝えしています。「難しそう」と思っている方にこそ、ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

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