写経の種類は4つある?「種類」の整理とお経の選び方と文字数の目安まで

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なぞり書き用紙と、写し写経用紙を並べたイメージ

「写経の種類」で調べている方は、なんだか話が噛み合わないページばかり出くわしているかもしれません。お経の名前が並んでいるページ、用紙の説明をしているページ、あるお寺の体験メニューが何種類も載っているページ。

理由は単純で、「写経の種類」といっても言葉が4つの違う意味で使われているからです。自分がどれを知りたいのかがはっきりすれば、答えはすぐ見つかります。

この記事では4つを切り分けたうえで、いちばん知りたい人が多い「どのお経を書くか」を、文字数と所要時間つきの一覧にまとめました。

この記事でわかること
  • 「写経の種類」がもつ4つの意味
  • 写経で書くお経の一覧(文字数・所要時間の目安つき)
  • 宗派から書くお経を逆引きする方法
  • 写経と写仏のちがい
  • 写経用紙の種類と、慣れに応じた選び方
  • 結局どれから書けばいいか
目次

「写経の種類」には4つの意味がある【早見表】

まず、自分が知りたいのはどれかを確かめてください。

「種類」の意味具体的には読む場所
①どのお経を書くか・お経の種類般若心経・観音経・法華経・阿弥陀経などこの記事の中心。次の章へ
②写経と写仏の種類文字を書くか、仏様のお姿を描くか記事の中ほど
③写経用紙の種類なぞり書き・罫線入り・無地など記事の後半
④お寺の体験メニュー寺院ごとに用意された写経コース記事の終盤

いちばん多いのは①です。「写経を始めたいけど、何を書けばいいの?」という疑問ですね。そこから見ていきます。

写経で書くお経の種類【文字数・所要時間つき一覧】

仏の教えは「八万四千の法門」と言われるほど数多くあり、お経の数も膨大です。ただ、実際に写経でよく使われるものは限られています。短い順に並べました。お寺で使われているのはこの他にもありますので、参考にと思ってください。

お経文字数所要時間の目安主に書く宗派・位置づけ
延命十句観音経42字10〜20分禅宗系。最も短い。
般若心経本文262字約60分真言宗・天台宗・禅宗など。写経の定番
観音経(偈文)約600字2〜3時間法華経の一章「観音経」の後半。世尊偈とも呼ばれる
正信偈840字3時間前後浄土真宗。厳密にはお経ではなく偈文
阿弥陀経約1,900字数回に分けて浄土宗・浄土真宗(浄土三部経のひとつ)
法華経全28品で約69,000字一部を抜き出すのが一般的日蓮宗。自我偈などを書く

所要時間は目安です。書く速さには個人差があるので、詳しくは写経にかかる時間を見てください。

文字数は「数え方」で変わります

ここはややこしい話なので気にならない方は飛ばしてください。一応補足として書いておきます。般若心経の文字数を調べると262字・266字・276字などとバラバラに出てきますが、どれも間違いではありません。

  • 262字……本文だけを数えた数。仏教の分野ではこれが標準
  • 266字……本文に、末尾の奥題「般若心経」4字を足した数
  • 274〜276字……冒頭の首題(経題)まで含めた、全文の数
  • 260字……玄奘訳本の本文を数えたもの

最後の260字だけ補足。いま広く出回っている現行流通本は玄奘訳本によるといわれるほどよく似ていますが、「遠離」の下に「一切」が入るかどうかなど、字句がわずかに違います。その差がそのまま文字数の差になっています。

使う写経用紙によって首題の書き方(「仏説摩訶般若波羅蜜多心経」なのか「般若波羅蜜多心経」なのか)も変わります。数字が合わなくても心配いりません。お手本のとおりに書けば大丈夫です。

なぜ般若心経がこれほど多いのか

写経といえば般若心経、というくらい定番になっているのには理由があります。日本でもっとも広く読まれているお経であること。そして262字という、長からず短からずの分量であること。

この「長からず短からず」が本当によくできていると思います。大体40分〜1時間ほどで書き上がるので、始めて終わるまでが一日の中におさまる。短すぎると集中に入る前に終わってしまうし、長すぎると途中で気持ちが切れてしまいます。市販の写経セットも用紙もほとんどが般若心経向けなので、道具の面でも始めやすいですね。私も書いているのは般若心経です。

全文や書き方は般若心経の写経(全文テキスト・読み方・書き方)にまとめています。

短いお経から始めるという手もあります

とはいえ、262字でも「多い」と感じる方はいます。そういう場合の選択肢が延命十句観音経(えんめいじっくかんのんぎょう)です。写経スポットでもまあまあ見かけるお経です。

十の句からなる、わずか42字のお経。般若心経の約6分の1です。江戸時代、臨済宗の白隠禅師が「延命」の二字を加えて広めたと伝わります。中国で成立した偽経とされ、大正新脩大蔵経にも収録されていませんが、その短さと語呂のよさから、いまも写経の入り口として親しまれています。

ゆっくり書いても20分ほどで書き上がるので、「毎日1枚」を続けたい人にはこちらのほうが現実的だったりします。続かない原因が量にあるなら、お経を短くするのはとても素直な解決策です。

宗派から選ぶ|あなたの家のお経はどれ?

菩提寺やご実家の宗派が決まっている方は、そこから選ぶのがいちばん自然です。宗派ごとに大事にしているお経が違うので、書くものも変わります。

宗派写経で書くお経詳しくは
真言宗般若心経・光明真言真言宗の写経
天台宗・禅宗(曹洞宗・臨済宗)般若心経・延命十句観音経など曹洞宗の写経
浄土宗阿弥陀経など浄土三部経浄土宗の写経
浄土真宗正信偈・阿弥陀経など(※後述)浄土真宗の写経
日蓮宗法華経(自我偈など)・お題目日蓮宗の写経

注意が必要なのは浄土真宗です。阿弥陀如来の本願によって救われるという立場をとるため、自力で功徳を積む行としての写経を、積極的にはすすめません。ただ「絶対にしてはいけない」という話でもなく、お経に親しむ目的で正信偈などを書写する写経会を開いているお寺もあります。

逆にいうと、それ以外の宗派なら般若心経で問題ありません。宗派が違うお経を書いたからといって咎められることもないです。気になるなら、菩提寺のご住職に一度聞いてみるのがいちばん確実だと思います。

写経と写仏はどう違う?

「写経の種類」を調べていると必ず出てくるのが写仏(しゃぶつ)です。写仏も写経スポットではよく見かけます。ちがいはシンプルで、なぞる対象が文字か、仏様のお姿かだけです。

写経写仏
書く(描く)ものお経の文字仏様のお姿
道具筆・筆ペン筆ペン・鉛筆・色鉛筆など
向いている人文字を書くのが好き漢字が苦手・絵のほうが好き

お寺の体験では両方を選べるところが多く、なかには写経と写仏を組み合わせて彩色までする「絵写経」を用意しているお寺もあります。漢字を書くことに気後れする方や、お子さんと一緒に取り組みたい場合は写仏のほうが入りやすいです。仏様の輪郭を追っているだけなのに、気づくと時間が経っている。集中の質は写経とよく似ています。

写経用紙にも種類があります

3つめの「種類」は用紙です。ここは慣れに応じて段階的に変えていくものだと思ってください。用紙の種類はけっこう重要です。

用紙どんなもの向いている段階
なぞり書き・お経がうすく印刷してあるなぞり書きスタイル(1枚完結)
・罫線入り用紙の下にお手本シートを敷き、文字を透かしてなぞって書くスタイル(用紙+見本)
はじめての1枚・初心者
写経スポットのほとんどはこれ
罫線入りマス目や縦罫だけが入っている(見本を横におきながら書く)字配りに慣れてきたら
無地手本を見ながら書くある程度続けてから
折本・巻子折りたたみ式や巻物状奉納・保存を意識する段階

最初は迷わずなぞり書きでいいです。誤字の心配がないぶん、書くことそのものに集中できます。罫線入りに移ると急に難しく感じますが、それは「自分で字配りを決めている」からで、上達している証拠でもあります。

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・写経用紙おすすめ4選|初心者が失敗しない選び方を書道経験者が解説

お寺の写経体験にも種類があります

4つめは、寺院が用意している体験メニューです。同じ「写経体験」でも中身はかなり違います。例えばですが、

  • 大覚寺(京都)……100円の一字だけの写経から般若心経まで7種類。→ 京都の写経体験
  • 高野山大師教会……墨を磨るところから作法に含まれる本式。→ 高野山の写経
  • 増上寺(東京)……法要のなかで書く写経会。書くのは浄土三部経など。→ 増上寺の写経会

「お寺で写経」とひと括りにされがちですが、一人で黙々と書く形式もあれば、読経と組み合わせた会のなかで書く形式もあります。全国の写経できる場所は写経道場のまとめなどで整理しています。

結局、どれから書けばいい?

迷ったときの指針をはっきり書いておきます。

こんな方はこれを
とりあえず写経を始めたい般若心経・なぞり書き用紙
続かない・時間が取れない延命十句観音経(42字)
菩提寺の宗派がはっきりしているその宗派のお経
漢字を書くのが苦手写仏
子どもと一緒にやりたい写仏・短いお経
供養のために書きたい般若心経(宗派を問わず納めやすい)

結論としては、こだわりがないなら般若心経のなぞり書きから。用紙も手本も手に入りやすく、体験できるお寺も圧倒的に多いです。物足りなくなってから他のお経に広げればいい。私もそうでしたし、その順番でよかったと思っています。

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まとめ

  • 「写経の種類」にはお経・写仏・用紙・体験メニューの4つの意味がある
  • よく書かれるお経は、短い順に延命十句観音経42字/般若心経262字/観音経偈文約600字/正信偈840字/阿弥陀経約1,900字
  • 般若心経の文字数が資料ごとに違うのは、首題・奥題を数えるかと写本の系統の差によるもの
  • 宗派が決まっているならそのお経を。浄土真宗だけは写経を積極的にはすすめない立場
  • 写経と写仏のちがいは、なぞる対象が文字か仏様かだけ
  • 用紙はなぞり書き→罫線入り→無地と、慣れに応じて進める
  • 迷ったら般若心経のなぞり書きから

種類が多いと迷ってしまいますが、どれを選んでも「一文字ずつ丁寧に書く」ことに変わりはありません。選ぶことに時間をかけるより、1枚書いてみたほうが早いです。

あわせて読みたい記事はこちらです。

→ 【完全ガイド】写経とは?意味・効果・やり方

→ 写経にかかる時間は?1枚の目安

よくある質問

般若心経以外のお経を写経してもいいですか?

問題ありません。般若心経が定番なのは、日本で広く読まれていることと262字という分量の手ごろさによるもので、決まりではないです。観音経の偈文、正信偈、阿弥陀経、法華経の自我偈など、選択肢はいろいろあります。菩提寺の宗派で大事にされているお経を選べば、意味を知る楽しみも増えます。

自分の宗派と違うお経を書いてもいいですか?

基本的に構いません。お寺の写経体験でも、参加者の宗派は問わないところがほとんどです。ただ、日蓮宗のように般若心経をお勤めに用いない宗派もあるので、菩提寺に納経したい場合は事前に確認しておくと安心です。自宅で書く分には、自由に選んで大丈夫だと思います。

いちばん短いお経はどれですか?

写経でよく使われるもののなかでは、延命十句観音経の42字がもっとも短いです。般若心経の約6分の1で、ゆっくり書いても20分ほどで1枚書き上がります。禅宗系のお寺の写経体験でもよく用意されています。「毎日続けたいけれど時間がない」という方には、こちらのほうが向いていると思います。

法華経は全文を書くのですか?

全文を書くことは、現実的にはほとんどありません。法華経は全28品からなり、日蓮聖人はその文字数を六万九千三百八十四字と示しています。そのため写経では、如来寿量品の自我偈など、一部を抜き出したものを書くのが一般的です。

写経用紙は使い分けたほうがいいですか?

最初はなぞり書き1種類で十分です。慣れてきて「なぞるだけでは物足りない」と感じたら罫線入りに、さらに進みたければ無地に。順番に変えていくことで、自分の字と向き合う段階が変わっていきます。奉納を考えている場合は、納め先のお寺が用紙を指定していることもあるので確認してください。

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この記事を書いた人

奈良で育ち、母が毎朝仏壇の前で般若心経を唱えるのを聞きながら育ちました。子供の頃は習字教室に通い、筆は身近なものでしたが、写経を自分で始めたのは30代になってから。都内IT企業での激務と、眠れない夜が続いた頃、ふと筆を手に取ったのがきっかけです。

1枚書き終えた後の静けさが忘れられなくて、それから5年。写経は私の暮らしに欠かせないものになっています。

このサイトでは、写経を始めたい方に向けて、道具の選び方からお寺での体験まで、実体験をもとに丁寧にお伝えしています。「難しそう」と思っている方にこそ、ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

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